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地域のこたつ

2020

​古着 糸 布団 パイン材 塗料 こたつ

room size H278cm×W445cm×D355cm

​DenchuLab. (旧平櫛田中邸・上野桜木)

 

 

 

田中邸の2階の10畳の座敷にこたつを設置し、手前の小部屋には、古着を集める際に一緒にいただいた古着にまつわる思い出を書いたメモや集めた地域のマップを展示した。障子には、メモの内容や直接聞いたエピソードとともにこたつに使用した古着の写真を当てはめた。

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家を出て家に帰ることに始まり、家には、生活や暮らしの気配が蓄積される。私たちが着ている衣服には、日々の記憶や痕跡が残される。旧平櫛田中邸の近隣に暮らす人々からもう着なくなった衣服を集め、同時代に過ごされたそれぞれの日常の断片を一つのこたつ布団につなぎ合わせた。

【障子】

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古着にまつわるエピソード 受け渡し時のメモ・会話より

トレーシングペーパーにプリント

2020

size H136cm×W433cm

【手前の部屋】

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日常についての考察 / 《地域のこたつ》制作のための

布 毛糸 地図 古着提供者からもらったメモ

2020

room size H257cm×W265cm×D173cm

(展示に寄せたステートメント全文)

朝が来て、家を出る。学校や会社に向かう。仕事をしたり、約束をして誰かと会ったり、どこかに出かけたり、家で家族と過ごしたりする。わたしたちの日常は、いろんな人が過ごす時間の偶然の掛け合わせによって形成される。

近年、災害を意識する機会が増え、わたしたちは当たり前に過ごす「日常」が突然失われてしまう可能性があることを知った。わたしたちが積み重ねる日々の出来事や生活の多くは記録されず、形として残されることはない。わたしたちはある土地に生まれ、過ごし、やがて旅立っていく。そして、その後には何が残るのだろう。

日暮里駅南口を出て、平櫛田中邸に向かう。谷中霊園を通る。犬の散歩をする人とすれ違う。大きな荷物を自転車の荷台にくくりつけて配達をする宅急便のお兄さんが通る。故人に手を合わせる人がいる。わたしたちは一日の終わりには家に帰る。生きている間に帰る場所が家であるならば、日常の中に故人が居たということを伝えるお墓は、わたしたちが過ごす日常の最後に帰る場所としても捉えられる。

​わたしにとっての日常は、同時に他者にとっての日常である。わたしが日々を過ごす時、同時代に生きる他者もまた、同じ時間を生きている。誰かにとっての日常が時を進めることをやめても、他の誰かの日常は続いていく。誰かによって過ごされた日常の出来事を保証するのは、その人と時間を共有した人々である。同時代にそれぞれの日常を過ごし、時間を共有した誰かという、非常に曖昧で、形に残ることのない記録のされ方で、わたしたちの日常は繋がれている。

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