祈りのかたち
2023
古着 糸 接着芯 吊糸
room size H300cm×W800cm×D700cm
奥能登国際芸術祭・旧上黒丸小中学校
珠洲は、船という器に乗って海からやってきた文化や技術を受け入れてきた土地という器だ。能登半島の集落に今も続く無形文化遺産「あえのこと」は、家主が田の神を家に招き入れ、ご馳走や風呂でもてなす儀礼であり、神をもてなし共同飲食をする儀礼としての祭りにおいて、器は欠かせない。このことから、人々は土地の大漁豊作への祈りや感謝をご馳走に込めて、器に託してきたのだと考えた。
また「器」という字を構成する「口」は神への祈りの言葉を入れる箱であり、「器」は重要な容器の意味を表すという。ある土地に生まれ、暮らし、祈りながら、歴史を紡ぐ人々の存在もまた、文化や風習を受け継ぐ「器」としての役割を担っているのかもしれない。
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珠洲に住む方々から募集した古着を使用して「器」をモチーフとした作品を制作した。それぞれの古着から成る器は珠洲に生きる人々の姿の象徴であり、個々の器が集まることで大きな器のシルエットを浮かび上がらせる。
隣の図工室では珠洲に住む方々と行った古着の器を作るワークショップの様子を展示した。ワークショップでは、珠洲に住む方々に古着を持ち寄ってもらい、その古着から器を作った。完成した器と併せて、古着についての思い出や珠洲での暮らしのことを書いてもらった。
【図書室展示風景】
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【図工室展示風景】
【ワークショップ風景】
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ワークショップ写真:西海一紗